『塔の上のラプンツェル』裏設定と原作の真相!名曲秘話まで徹底解剖
『塔の上のラプンツェル』の魅力を語る上で欠かせないのが、アニメーション史に残る劇中歌「輝く未来(原題:I See the Light)」の誕生秘話です。本作の音楽を手掛けたのは、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』でディズニーの黄金期を築き上げた巨匠アラン・メンケン。作詞はグレン・スレイターが担当しました。
メンケンは本作のスコアを構築するにあたり、従来のブロードウェイ様式にとどまらず、1960年代のフォークロック(ジョニ・ミッチェルやキャット・スティーヴンスら)の叙情的なギターサウンドを意図的に融合させました。「輝く未来」の歌詞は、ランタンを見上げる二人の内面のパラダイムシフトを見事に描き出しています。ラプンツェルにとってランタンの光は「塔の外の未知の世界」を象徴していましたが、今目の前にいるユージーンこそが自分の生きる意味(光)であると気づく。一方のユージーンもまた、富や名声といった虚栄を追い求めていた過去を脱ぎ捨て、彼女の瞳の中にこそ求めていた未来を見出します。2011年アカデミー賞歌曲賞にノミネートされたこの楽曲は、物語の感情的クライマックスと旋律が奇跡的な一致を見た至高の瞬間でした。
また、本作を支えるユニークな裏設定とトリビアは枚挙にいとまがありません。
- フリンのビジュアルを決めた「イケメン会議」:バイロン・ハワードとネイサン・グレノ両監督は、ディズニー史上最も魅力的な男性主人公を作るため、スタジオ内の女性スタッフ数十人を招集。「究極のホットな男性とは何か」を徹底議論させました。壁一面にジョニー・デップやヒュー・ジャックマン、ブラッド・ピットといったスターの写真が貼られ、女性陣の忌憚のない意見を徹底的に吸い上げてフリンのデザインが完成しました。
- 70フィート(約21メートル)の髪の毛の物理演算:ラプンツェルの象徴である髪は、約14万本もの独立したストランドで構成されています。これらが絡まらず、重力を持ち、布のように広がり、時には武器として機能するアニメーションを実現するため、ディズニーは専門のソフトウェア開発者ケリー・ウォードらを招聘し、専用の物理演算プログラムを一から開発。これが後の『アナと雪の女王』の雪氷表現へと直結するCG技術の礎となりました。
- 言葉を喋らない名脇役「パスカルとマキシマス」:親友のカメレオン・パスカルは、初期プロットではリスや青い小鳥として構想されていましたが、監督の知人が飼っていたカメレオンのユニークな生態から採用が決定。白馬マキシマスは、往年の無声映画の喜劇王バスター・キートンの動きを研究し、馬でありながら「敏腕刑事」のような思考回路を持つキャラクターとして造形されました。言葉を一切発しない二匹が、豊かなパントマイムによって観客の爆笑を誘う設計は、ウォルト・ディズニーのクラシック・カートゥーンの正統進化と言えます。