実写版『進撃の巨人』なぜ酷評?改変の真相とリヴァイ不在の理由を検証
原作ファンが最も疑問に感じた「なぜリヴァイを出さなかったのか」「なぜシキシマというオリジナルキャラを作ったのか」という点については、公開当時の公式インタビューや関係者の手記によって制作の生々しい裏事情が明かされています。
脚本を担当した映画評論家の町山智浩氏や樋口真嗣監督の証言によると、当初の企画段階では「日本人キャスト全員でヨーロッパ風の名前を演じることの不自然さ」が大きな課題として立ち塞がりました。
「エレン」「アルミン」「ミカサ」は残すとしても、「リヴァイ(Levi)」という明確な欧米系の名を持つ完璧超人を、生身のアジア系俳優が演じることは絵空事になりかねないというリアリティの壁が生じたのです。さらに、日本国内で実写映画を成立させるという東宝側の商業的要請から、キャストを日本人俳優で固める制約が課されていました。
そして何より決定打となったのが、原作者・諫山創氏自身からの強力なリクエストでした。諫山氏は実写化にあたり、制作陣に対して次のような要望を伝えたとされています。
「原作と同じ物語を映画でなぞっても意味がない。映画という枠組みの中で、独立した別の魅力を持つ作品にしてほしい」
「原作のエレンのような強烈な狂気を持つキャラクターは、2時間の映画の主人公としては観客が共感しにくい。普通のどこにでもいる青年の視点から物語を始めてほしい」
原作者の「原作を壊して新しいものを作ってくれ」という依頼に応える形で、リヴァイの役割とエレンの対立項を凝縮した存在として生まれたのが、長谷川博己演じる「シキシマ」でした。
しかし、原作者の真意が「映画としてのダイナミズムの追求」にあったのに対し、完成した脚本と演出ではシキシマのキザな台詞回しやミカサとの三角関係が浮いてしまい、結果として「リヴァイを消してまで入れたキャラがこれなのか」というファンの怒りを買う皮肉なミスマッチを生んでしまったのです。