安楽死の費用総額と内訳|スイス渡航の実態と厳格な審査条件を検証

安楽死の費用総額と内訳|スイス渡航の実態と厳格な審査条件を検証にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

NHKスペシャルをはじめとする報道番組や、実際にスイスへ渡航した日本人患者の手記・関係者の証言を通じて、現場のリアルな手続きプロセスが明らかになっています。そこには、単に費用を用意するだけでは突破できない、過酷な現実が存在します。

「自らの手でスイッチを押す」絶対要件と身体機能のリミット

スイスの刑法115条が規定する自死幇助の合法要件において最も決定的なのは、「第三者が手を下さず、本人が最後の動作を行わなければならない」という点です。医師から処方された致死性薬物(高濃度のバルビツール酸系睡眠薬・ペントバルビタールナトリウムなど)を自らコップで飲み干すか、点滴のローラークレンメ(調節器)をごくわずかに自力で押し開けなければなりません。

このルールは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や多系統萎縮症などの進行性神経難病の患者にとって、極めて残酷な時間的制約を生み出します。手足の運動機能や嚥下機能が完全に失われてしまえば、スイスに到着しても薬を投与できず、自死幇助の対象外となってしまうためです。「まだ生きたい」という思いと「これ以上進行すれば自死の権利すら失う」という恐怖の間で、限界ギリギリの早期決断を迫られる当事者の苦悩は計り知れません。

現地到着後の2回に及ぶ医師面談と「精神鑑定」

スイス現地に到着しても、すぐに処置が行われるわけではありません。独立したスイスの登録医師と最低2回の対面面談を行い、以下の点について綿密な聞き取り審査を受けます。

  • 現在の病状が耐え難い肉体的苦痛をもたらしているか
  • 治療によって改善する余地が残されていないか
  • うつ病など一時的な精神錯乱による判断ではなく、明確な自己決定権(判断能力)を有しているか
  • 家族や周囲からの金銭的・心理的プレッシャーによって強制されていないか

医師が少しでも「判断能力の喪失」や「躊躇い」を認めた場合、その場で手続きは中止されます。その場合でも、それまでに発生した渡航費や医師面談料が戻ってくることはありません。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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