「いいこと悪いこと」は交互に起こる?人生の波を読み解く心理学と対処法
「幸運の後には必ず落とし穴がある」という感覚は、単なる気のせいではなく、人間の脳の情報処理パターンと密接に関係しています。認知心理学において最も有力な説明とされるのが確証バイアスです。人間は「良いことの後は悪いことが起きる」という既存の思い込みを持っていると、そのパターンに合致する出来事(昇格直後の事故など)ばかりを鮮明に記憶し、パターンに当てはまらない日常の出来事を無意識に忘却する傾向があります。
心理学の実験データによると、人間の脳はポジティブな情報よりもネガティブな脅威情報に対して約3倍から4倍強く反応する「ネガティビティ・バイアス」を備えています。そのため、日常に同等の割合で良いことと悪いことが起きていたとしても、悪い出来事ばかりが印象に残り、「交互に揺さぶられている」ような錯覚に陥るのです。
さらに、確率論・統計学の観点からは平均への回帰(Regression to the mean)で説明がつきます。サイコロを振って一時的に「6」が連続して出たとしても、試行回数を増やせば確率は本来の平均値に落ち着きます。人生における出来事も同様で、極端に幸運な出来事が発生した後は、確率的に「通常の状態」あるいは「平均的な出来事」へと揺り戻しが起きます。この通常の揺り戻しを、直前の幸運との対比によって「悪いことが起きた」と知覚してしまうのが、確率のカラクリです。