銀河鉄道の夜「天気輪の柱」の正体とは?日時計・供養塔説の真相に迫る
物語の冒頭、活気あふれるケンタウル祭(星祭り)で賑わう街の喧騒から逃れるように、孤独な少年ジョバンニは暗い坂道を駆け上がります。たどり着いた冷たい草が生い茂る丘の頂上、そこにひっそりと立っていたのが「天気輪の柱」でした。
宮沢賢治記念館に収蔵されている自筆原稿(草稿)を紐解くと、この柱は「大きな活字の柱のよう」あるいは「まわりの草のなかに、ぼんやり白く立っていた」と形容されています。見上げると、柱の頂部はどこか燐光を帯びているかのように青白く光り、ジョバンニがその根元の涼しい草の上に身を投げ出した瞬間、巨大な銀河鉄道の汽笛が鳴り響くのです。
つまり、銀河鉄道の夜における天気輪の柱は、単なる背景美術にとどまらず、現実の日常から異界の旅へと跳躍するための物理的な発火点として機能しています。ジョバンニが抱える家庭の貧困や父親の不在、同級生からの心ないからかいといった耐え難い現実の重圧が、この柱に触れることで星々が瞬く銀河の彼方へと昇華されていきます。