伝説の誤訳ミーム「ゼロウィング」の真相と世界を侵食した怪英語
Web検索やSNSで頻繁に表記揺れを起こす「all the bases are belong to us」ですが、その歴史的元ネタは1989年に東亜プランが開発したアーケード用横スクロールシューティングゲーム『ゼロウィング(Zero Wing)』です。ただし、日本のゲームセンターで稼働していた業務用基板には、かの有名な英語のテキストは一切含まれていませんでした。
問題の台詞が登場したのは、1991年にセガの家庭用ハード「メガドライブ(Mega Drive)」向けに欧州地域(PAL圏)で発売された移植版ソフトです。日本国内版のメガドライブ版に収録されていたプロローグアニメーションを欧州市場向けに英語化する際、信じがたいほど稚拙な翻訳が施されたことがすべての始まりでした。
物語の導入部で、プレイヤー艦を急襲した謎のサイボーグ怪人「CATS(カッツ)」が言い放つ威嚇の言葉、「君達の基地は、全てCATSがいただいた。」。本来であれば「All your bases are now under our control」や「We have taken all of your bases」と意訳されるべきこの軍事的制圧宣言が、なぜか画面上には次のように表示されました。
「All your base are belong to us.」
主語の「base」が単数形であるにもかかわらず限定詞「All」が付き、一般動詞「belong」の直前にbe動詞「are」が不自然に挿入されるという、英語圏の中学生でも首を傾げる壊滅的な構文。この破滅的な言語センスが、約10年の潜伏期間を経て2000年代初頭の欧米ネットコミュニティに発掘され、テレビ番組や新聞の見出しをジャックするほどのモンスターミームへと変貌を遂げました。