兄弟福祉院事件の真相と国家賠償|韓国最悪の人権侵害と現在の教訓
インターネット上や一部の言説では、この事件に対して「当時の治安が悪かったため、浮浪者を保護した結果の行き過ぎた指導に過ぎない」といった誤った認識が散見されます。しかし、公的記録と検証データはそうした見方を完全に否定しています。
第一の誤解:「収容されたのは浮浪者ばかりだった」という嘘
真実和解委員会の調査によると、収容者のうち実際に住居不定や支援が必要だった層はごく一部であり、7割から8割以上は明確な住居や家族を持つ一般市民や迷子でした。帰宅途中の勤労者や親とはぐれた児童が、ノルマ達成のために警察や施設職員によって拉致同然に連れ去られていたのが実態です。
第二の誤解:「院長個人の単独犯行だった」という責任転嫁
創設者であり院長を務めたパク・イングンは、陸軍特殊部隊出身の経歴を誇示し、政界高官との太いパイプを築いていました。政府から「福祉功績者」として勲章を授与されるなど、政権の後ろ盾を得て君臨していたのです。
1987年の裁判において、最高裁判所はパク院長の監禁罪について「内務部訓令に基づく正当業務行為」として無罪判決を下しました。横領罪など極めて軽微な罪のみが適用され、懲役わずか2年6ヶ月で釈放されたのです。パク院長は出所後も名前を変えた福祉法人を通じて莫大な不動産資産を保有し続け、一度も被害者に謝罪することなく2016年に86歳で死去しました。法が加害者を守り、被害者を切り捨てた典型的な司法の不条理でした。