篠山紀信の写真集解剖『Santa Fe』未公開秘話とプレミア価値
なぜ篠山紀信の作品は、半世紀近い時を経ても古びることがないのだろうか。その理由は、被写体に対する徹底した客観性と、時代の空気を丸ごと定着させる卓越したポートレート撮影の技術にある。時代の寵児たちの美しさだけでなく、その背後に漂う時代の熱量や儚さまでをも写真の中に閉じ込めているのだ。
商業性と芸術性という、本来であれば相反する二つの要素を見事に融合させた功績は極めて大きい。視覚的な美しさと人間の本質に迫るドキュメンタリー性を兼ね備えたアプローチは、後進の写真家たちに多大な刺激を与え続けている。過激な試みと見なされた表現も、本質においては普遍的な美を追求した写真芸術の一形態であったことが、現代の視点からもはっきりと証明されている。