無量大数の上にある驚愕の数とは?仏教と数学が拓く巨大数の深淵
20世紀以降、純粋数学や情報科学の発展に伴い、東洋の宗教的単位をも圧倒する「怪物的巨大数」が次々と定義されていきました。
ITの巨人の語源となった「グーゴル」と「グーゴルプレックス」
1920年、アメリカの数学者エドワード・カスナーが「とてつもなく大きな数」の概念を分かりやすく説明するため、9歳の甥ミルトン・シロッタに名前を尋ねたところから「グーゴル(Googol = 10100)」が誕生しました。世界的な検索エンジン「Google」の社名は、このグーゴルをスペルミスしたことに由来している話は有名です。
さらにカスナーは、「1の後に、疲れて書けなくなるまで0を書いた数」として「グーゴルプレックス(Googolplex = 10Googol = 1010100)」を定義しました。観測可能な宇宙に存在する素粒子の総数はおよそ1080個と推定されています。宇宙空間のすべての素粒子をインクと紙の原子に変換したとしても、グーゴルプレックスを十進法の数字で紙面に印刷することは物理法則上、絶対に不可能です。
ギネスブックに刻まれた怪異「グラハム数」
指数表記(10の何乗)という枠組みすら破綻させたのが、数学者ロナルド・グラハムが提示した「グラハム数(Graham's number)」です。「数学の厳密な証明で用いられたことのある最大の有限数」としてギネス世界記録に認定され、巨大数愛好家の間では伝説的な存在となっています。
グラハム数は、多次元立方体のグラフ理論(ラムゼー理論)に関する未解決問題を論証する際、「解が存在する上限の値」として導かれました。その大きさを記述するには、通常の累乗では不可能であり、ドナルド・クヌースが考案した「タワー表記(上向き矢印表記 ↑)」を用います。
「3↑↑3」だけでも「3の3乗の3乗(327 = 7兆6255億9748万4987)」になりますが、グラハム数はこの矢印の操作を64段階にわたって入れ子状に激増させていきます。物理学者の間では「グラハム数の全桁のデジタル情報を人間の脳内に直接記憶させようとすると、情報量がエントロピーの限界を超え、脳が局所的なブラックホールに崩壊してしまう」と試算されるほどの絶望的な大きさを誇ります。