ティファニーブルーの意味とは?コマドリの卵が運ぶ幸福と商標の秘密
なぜティファニーブルーは、これほどまでに結婚やプロポーズの唯一無二の象徴として選ばれ続けているのでしょうか。その核心には、ヨーロッパで数世紀にわたり受け継がれてきた婚姻の儀礼と、深い色彩象徴が関わっています。
イギリスに伝わる古いマザーグースの詩に由来する結婚式の伝統「サムシングフォー(Something Four)」。花嫁が生涯の幸福を願って身につける4つのアイテム(古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの)の中で、とりわけ重要な役割を担うのが「サムシングブルー(青いもの)」です。キリスト教圏において、青は聖母マリアの純潔や誠実、揺るぎない忠誠を象徴する神聖な色とされてきました。花嫁の純潔と、生涯ひとりの伴侶に誠を尽くすという貞節の誓いが託されていたのです。
加えて、19世紀のヴィクトリア朝イングランドで流行したジュエリーの慣習も見逃せません。当時の貴族社会では、ターコイズ(トルコ石)の爽やかな青が大変好まれ、新郎から新婦へ、あるいは花嫁からブライズメイドへの引き出物として「私を忘れないで(勿忘草)」の意を込めたターコイズの小鳩やブローチを贈り合う優雅な風習がありました。
ティファニーブルーの色言葉は「真実の愛」「信頼」「清らかな心」。創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーは、この卓越したヨーロッパの伝統美学を自社のアメリカンラグジュアリーへと見事に昇華させました。「この青い箱を受け取ることは、生涯変わらない誠実さを誓われることと同義である」という物語性が、1世紀半以上の歳月を経て世界中の共通認識となったのです。