セントバーナードのよだれはなぜ止まらない?理由と対策を徹底解剖
セントバーナードを観察していると、食事の前後だけでなく、ただ座ってくつろいでいるだけでも口角から透明な唾液が糸を引いて垂れ下がります。この現象の根底には、品種改良の歴史と大型犬特有の顔面解剖学が深く関係しています。
犬の口元において、上唇の垂れ下がった皮膚の部分を解剖学用語で「フルュー(flews)」と呼びます。セントバーナードはこのフルューが極めて大きく、下あごを覆うように深く垂れ下がっています。一般的な中型犬や立ち耳の犬種であれば、口唇が引き締まっているため唾液は自然と口腔内に保持され、無意識のうちに飲み込まれます。しかし、セントバーナードの口唇構造はポケット状にたるんでいるものの密閉性が極めて低く、分泌された唾液を口の中に溜めておくことが物理的にできません。
さらに、体重が50kg〜90kgにも達する巨体を維持するため、消化器官の入り口である唾液腺自体が非常に発達しています。寒冷地で冷たい外気を吸い込む際に口腔内や気道を湿潤に保つ役割も担っていたと考えられていますが、温暖多湿な日本の気候下では、体温を下げるためのパンティング(浅く速い呼吸)とともに唾液の分泌量が爆発的に増加します。つまり、「よだれが多い」のではなく、「作られた唾液が構造上すべて外へ流れ落ちてしまう」というのが真相です。