三笠宮百合子さま101年の生涯|激動の歩みと宮家継承の行方を追う
百合子さまの出自を紐解くと、日本の近世から近代にかけての名門の血脈が幾重にも交差していることがわかります。実父である高木正得子爵は、旧河内国丹南藩(現在の大阪府松原市周辺)1万石の藩主を務めた高木家の第13代当主であり、昆虫学者としても知られた文化人でした。
さらに母の邦子(くにこ)さまは、入江為守子爵の長女にあたります。この入江家は、平安時代から続く歌道の宗家・冷泉家の流れを汲む名門公卿の家柄です。邦子さまの弟、すなわち百合子さまの叔父にあたるのが、昭和天皇の側近として長く仕え、『入江相政日記』で昭和史の貴重な内幕を遺した入江相政(すけまさ)侍従長です。
血統をさらに遡れば、江戸幕府の第11代将軍・徳川家斉の血も引いており、公家と大名華族双方の最高峰の教養と品格を受け継いで生まれたのが百合子さまでした。昭和の皇室において、伝統的な宮中儀礼や立ち振る舞いを完璧に身につけられていた背景には、こうした極めて格式の高い家庭環境で育まれた素養がありました。