ビートたけしの父・北野菊次郎の真実|映画のモデルと最期の遺言
ビートたけしの代表的自伝エッセイ『菊次郎とさき』の原作や、数々のテレビ番組で語り継がれる北野菊次郎のエピソードは、常軌を逸しながらもどこか哀愁と笑いを誘うものばかりです。
菊次郎が巻き起こした代表的な逸話の数々は、昭和の下町文化の生々しい空気を伝えています。
- 家じゅうをペンキで塗りたくる事件:現場から余ったペンキを持ち帰り、機嫌が良いと柱や壁だけでなく、障子の桟や下駄、果ては飼い猫の額まで水色や緑色に塗ってしまい、家族を仰天させた。
- タンスを叩き壊して薪にする暴挙:冬の寒い夜、泥酔して帰宅した菊次郎が「寒い!」と怒鳴り、さき夫人が止めるのも聞かずに部屋の木製タンスを斧で叩き割り、風呂釜の焚き付けにしてしまった。
- 小遣いをせびる奇妙なステップ:素面のときは妻に頭が上がらず、小遣いが欲しいときはさきの周りをソワソワとすり足で歩き回り、咳払いをしながら指を小さく擦り合わせてアピールした。
たけし自身、自著の中で「親父の行動はめちゃくちゃだったが、その理不尽さこそが俺のコントづくりの教科書だった」と述懐しています。他者に対する極度の照れ隠し、本音をストレートに言えないもどかしさを「おどけ」や「怒り」でごまかす菊次郎の行動様式は、ツービートの漫才やビートたけしの芸風の中に色濃く受け継がれています。