【弱虫ペダル】Mtb皇帝・雉弓長は何者?坂道を惹きつけた圧倒的強さの真相
物語の大きなターニングポイントとなったのが、通称「MTB編」における小野田坂道との邂逅です。2年目のインターハイを制覇した坂道は、連覇の重圧やチームを背負う責任感から、無意識のうちにペダリングの伸びやかさを失い、一種のスランプに直面していました。その折、榛名山の麓で偶然出会った雉は、坂道が持つ非凡な高回転ペダリングの才覚を一目で見抜きます。
雉は坂道に対し、説教じみたアドバイスを一切行いませんでした。代わりに差し出したのが、自らが愛するMTBのハンドルでした。舗装路と違い、後輪が空転しやすいダートコースでは、ペダルをがむしゃらに回すだけでは前へ進みません。「後ろタイヤに体重を乗せ、路面を掴む感覚」――雉が実走を通じて坂道に体得させたこのトラクションコントロールの極意は、坂道がロードレースでさらなる高みへ登るための決定的なミッシングリンクとなりました。
坂道にとって雉は、巻島裕介のような背中を見せる先輩とも、真波山岳のようなライバルとも異なる、「自転車に乗る根源的な喜びを思い出させてくれた恩師」です。同時に雉にとっても、自らの技術を恐ろしい速度で吸収し、泥だらけになりながら笑顔で山を駆け上がる坂道は、退屈な日常を打破してくれる特別な存在となっていきました。