なぜ全国から武器が?福島のへたれガンダム盗難事件の真相と現在の姿
強靭な装甲と圧倒的な火力を誇るはずのモビルスーツが、なぜ福島で「へたれ」と呼ばれるに至ったのか。その理由は、一目見れば誰もが納得してしまう独特のフォルムにあります。
へたれガンダムの歴史と経緯を遡ると、2000年代初頭に辿り着きます。生みの親は、福島市平石地区で暮らしていた元鉄工所勤務のアマチュア鉄工職人、阿部勝秀氏(故人)です。阿部氏は、自身が仕事で培った溶接技術を活かし、スクラップ工場や自宅にあった建築廃材、鉄パイプ、鉄板をコツコツと繋ぎ合わせ、約半年もの歳月をかけてこの像を組み上げました。
阿部氏が生前に語っていた制作の動機は、きわめて純朴なものでした。「地区の子どもたちや孫を喜ばせたい」「殺風景な道路脇に何か面白いものを置いて、通る人を笑顔にしたい」という素朴なサービス精神が原点でした。設計図なしの現物合わせで制作されたため、仕上がった像は胸部が薄く、肩が極端に落ち、膝がわずかに内股に曲がった、なんとも頼りなげなスタイルとなったのです。
正式名称は「機動戦士ガンダム像」として設置されたものの、2000年代後半にネット掲示板や個人ブログで紹介されると、「哀愁が漂いすぎている」「戦意喪失したような脱力感がたまらない」と大反響を呼びました。誰からともなく「へたれガンダム」という愛称が定着し、嘲笑ではなく、親近感と愛着を込めた呼称として地域公認のネームへと成長していきました。