なぜ泣ける?エンテイ映画『結晶塔の帝王』が歴代屈指の名作と呼ばれる3つの理由
サトシが母親を取り戻すべく結晶塔の天頂部へと辿り着いたとき、物語は最大のスペクタクルを迎えます。ミーを守る絶対的な防壁として立ち塞がるエンテイの圧倒的なパワーの前に、ピカチュウをはじめとするサトシの手持ちポケモンたちは追い詰められ、サトシ自身も高所から転落の危機に瀕します。
その絶体絶命の瞬間、夕暮れの空を切り裂いて現れたのが、ジョウト編第134話「リザードンのたに!またあうひまで!」で修行のためサトシと涙の別れを遂げていたリザードンでした。テレビ中継で危機に陥るサトシの姿を察知し、リザフィックバレーから独断で急行したリザードンの参戦は、劇場版シリーズ屈指の神演出として知られています。
激突するエンテイ対リザードン名勝負は、作画・音響・演出のすべてが頂点を極めています。空を自在に駆けるエンテイが放つ強烈な火炎弾やエネルギー波、それを受け止め咆哮するリザードンの肉弾戦は、まさに魂のぶつかり合いでした。ファンの間でも「リザードンの漢気(おとこぎ)は異常」と称えられ、単なるバトルアクションを超えた絆の証明として語り継がれています。
そして、この激闘に神聖な重厚感を与えたのが、エンテイ映画声優竹中直人氏の名演です。映画関係者やアニメーション評論家の証言でも、竹中氏の演技は「怪演でありながら、深い慈愛に満ちている」と絶賛されました。「わたしは お前の 父親だ」「ミーが望むなら、私は何にでもなろう」というセリフは、自分がアンノーンによって作られた虚構の存在であることを知りつつも、少女の父親であり続けようとするエンテイの悲哀を完璧に表現していました。野太い威厳の中に滲み出る切なさが、観客の感情を揺さぶる決定打となっています。