テセウスの船とは?思考実験の結論からドラマ黒幕の真相まで徹底解剖
この深遠な思考実験を、サスペンスと家族愛の物語へと見事に昇華させたのが、漫画家・東元俊哉氏による傑作サスペンス漫画『テセウスの船』(講談社『モーニング』連載)と、それを映像化した2020年のTBS日曜劇場(竹内涼真・鈴木亮平主演)です。
テセウスの船のあらすじの詳細を振り返ると、物語は平成元年に北海道の架空の寒村「音臼村」の小学校で起きた無差別青酸カリ毒殺事件から始まります。児童・教職員ら21人が命を奪われたこの凄惨な事件で、村の駐在警察官だった佐野文吾(演:鈴木亮平)が逮捕され、死刑判決を受けました。
事件後に生まれた文吾の息子・田村心(演:竹内涼真)は、「殺人犯の家族」という過酷な世間のバッシングと差別に晒されながら、身を隠すように育ちます。しかし、愛する妻・由紀(演:上野樹里)の言葉と死をきっかけに、心は父の無実を信じて調査を開始。事件現場である音臼村の跡地を訪れた瞬間、心は濃霧に包まれ、事件直前の1989年(平成元年)へとタイムスリップしてしまいます。
過去の世界で心が出会ったのは、村人たちから慕われ、家族を何よりも深く愛する心優しい父・文吾の姿でした。「父は本当に凶悪な殺人犯なのか?」——父の冤罪を晴らし、惨劇を阻止して家族の未来を変えるため、心は文吾とともに真犯人捜しへと奔走します。しかし、過去の悲劇を一つ回避するたび、心自身が属していた「元の未来」が激しく書き換わっていくという過酷な運命が待ち受けていました。