米津玄師『Kick Back』歌詞の狂気と愛|モー娘。引用の真相を解剖
楽曲の芸術的評価を決定づける一方で、SNS空間を爆発的な笑いと熱狂で包み込んだのが、奥山由之監督がメガホンを取った公式ミュージックビデオ(MV)でした。
公開直後からの米津玄師 KICK BACK MV ネットの反応を検証すると、Twitter(現X)のトレンドは数日間にわたり『KICK BACK』関連ワードで埋め尽くされました。ファンの間で特に大きな話題を呼んだポイントは以下の通りです。
- 異様な筋トレシーンと巨大化した腕:スタイリッシュな映像美のなか、突如として米津の腕がCGで超人的に肥大化し、鬼気迫る表情でジムで追い込みをかけるシュールレアリスム。
- 常田大希の怪演:トレーナー役として登場した常田大希氏が、真顔で米津を煽り立てるコンビネーションの面白さ。
- 車に跳ね飛ばされて疾走するラスト:全力疾走する米津が突如現れた車に激突し、空中を回転した後に何事もなかったかのように再び走り続ける驚天動地のクライマックス。
一見するとネットミームを狙った不条理ギャグのようにも映りますが、これこそが藤本タツキ氏が描く『チェンソーマン』特有の「グロテスクとナンセンスギャグの紙一重の緊張感」を完璧に映像言語化したものと言えます。死線を彷徨うシリアスな瞬間と、思わず吹き出してしまうようなバカバカしさが同居する世界観を、米津玄師は自らの身体を張って表現し切ったのです。