クリニックと病院の違いとは?病床20床の境界線と医療費の真相
「とりあえず大きな総合病院に行けば安心」という感覚で受診すると、診察代とは別に手痛い出費を強いられます。その正体が、厚生労働省が定める紹介状なし初診時の「選定療養費」です。
現在、病床数200床以上の地域医療支援病院や紹介受診重点医療機関、特定機能病院(大学病院など)を受診する際、他院からの紹介状(診療情報提供書)を持参しない患者に対しては、原則として保険診療分とは別に自費負担を徴収することが義務付けられています。2022年の制度改定以降、金額の下限が引き上げられ、2026年現在も以下の負担が定着しています。
- 医科初診時の選定療養費:最低7,000円(消費税別、医療機関により8,000円〜1万3,000円程度に設定)
- 医科再診時の選定療養費:最低3,000円(病状が安定しクリニックへの逆紹介を打診されたにもかかわらず、本人の希望で大病院に通い続けた場合)
- 歯科初診時の選定療養費:最低5,000円、再診時は最低1,900円
この選定療養費は全額自己負担であり、高額療養費制度や各種医療費助成の対象外です。例えば、軽い胃痛で紹介状を持たずに500床規模の総合病院を受診した場合、3割負担の保険診療費が3,000円前後であっても、選定療養費7,700円(税込)が上乗せされ、窓口で支払う合計金額は1万円を突破します。
さらに、初診料そのものの点数算定にも格差が存在します。通常のクリニックにおける初診料は診療報酬上291点(3割負担で約870円)ですが、200床以上の大病院では初診料自体が214点(3割負担で約640円)と低く設定されているケースがあります。一見すると大病院の基本初診料が安く見えますが、これは選定療養費の徴収を前提とした制度設計であり、トータルの自己負担額は圧倒的に大病院のほうが高額になる仕組みが構築されています。