劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』結末とタングが涙を誘う理由
物語を追う読者や観客が固唾をのんで見守るのが、タングの正体とクライマックスの展開です。ここからは物語の核心に触れるロボット・イン・ザ・ガーデン 結末 ネタバレを含みます。
世界各地を巡り、数々の困難を乗り越えたベンとタングは、ついにタングを設計した天才ロボット工学者、ボランス博士(原作ではチェンバース博士)の居場所に辿り着きます。そこで明かされたのは、衝撃の真実でした。タングは単なる旧型ロボットではなく、人間の「心」と「感情の成長」を模倣するために生み出された、世界で唯一無二の試作機(プロトタイプ)だったのです。
しかし、過酷な旅路を経てタングの機体は限界を迎えていました。動力源の劣化は深刻で、このままでは遠からず完全に停止してしまう運命にありました。博士はベンに一つの選択肢を提示します。最新のハードウェアにメモリを移し替えて完全に修復するか。しかしそれは、ベンと過ごした記憶や、タング独自の不完全で愛おしい人格をリセットすることを意味していました。
「新しくきれいになっても、それは僕のタングじゃない」――ベンは葛藤の末、記憶を消す全面換装を拒否し、現存するパーツで命を長持ちさせる応急処置を選びます。タングの命は人間と同じように有限であり、いつかは終わりが来る。しかし、だからこそ今この瞬間に注ぐ愛がかけがえのないものになると悟ったのです。
イギリスへと帰還したベンは、ボロボロになった自分たちを待ち受けていたエイミーと再会します。かつて他人の痛みに鈍感で、自活すら放棄していたベンは、タングの保護者としての旅を経て、一人の成熟した人間へと変貌を遂げていました。ベンは素直に自らの弱さとエイミーへの愛を告白し、二人は涙ながらに和解します。物語の幕切れ、エイミーの胎内には新しい命が宿り、ベンとエイミー、そして庭で遊ぶタングの3人(と1体)は、本当の「家族」として新たな一歩を踏み出すことになります。