川島なお美が『失楽園』で魅せた衝撃の熱演|渡瀬恒彦との真相に迫る
1997年7月から日本テレビ系列(読売テレビ制作・月曜夜10時枠)で放送されたドラマ版『失楽園』。キャスティングが公表された当初、世間の反応は期待半分、疑念半分といった空気感が支配的でした。青山学院大学在学中に『ミスDJリクエストパレード』でブレイクし、バラエティ番組『お笑いマンガ道場』などで愛嬌あるキャラクターを確立していた川島なお美さんの女優経歴において、重厚な文芸エロティシズムのヒロインへの起用は、極めてリスキーな大勝負と目されていたためです。
川島さん自身、生前の手記や特番インタビューで「この役を逃したら、生涯女優としての本物のチャンスは巡ってこない」「裸になることを恐れるのではなく、心を開け放てないことこそを恐れた」と述懐しています。書道家としての顔を持ち、冷え切った家庭に幽閉されていた凛子が、久木との出会いによって官能と精神を覚醒させていく過程を、川島さんは指先の震えや視線の揺らぎ一つひとつに宿らせました。
現場を支えたのは、相手役の久木祥一郎を演じた渡瀬恒彦さんの圧倒的な包容力とストイシズムでした。アクションから実録ドラマまで修羅場をくぐり抜けてきた渡瀬さんは、ラブシーンの撮影前に「なお美ちゃん、遠慮はいらない。本気でぶつかってきなさい」と声をかけ、カメラテストの段階から彼女の感情を極限まで引き出すようリード。渡瀬さんの揺るぎない信頼に支えられたことで、川島さんは羞恥心を完全に超越した大胆かつ気品あふれる熱演を具現化できたと語り継がれています。