『南極物語』リキとシャチの衝撃シーン真相|実話との違いと涙の最期を検証
なぜ忠実な樺太犬たちが極寒の地に残されなければならなかったのか。その背景には、当時の南極地域観測隊が直面した前代未聞の悪天候と氷海遭難の危機がありました。
1958年初頭、観測船「宗谷」は記録的な分厚い海氷と激しいブリザードに阻まれ、昭和基地へ近づくことが困難を極めました。第1次越冬隊員を小型飛行機で船へピストン輸送して全員救出したものの、燃料の枯渇と船体の損傷が深刻化。第2次越冬隊を基地へ送り込むことすら不可能となり、急遽越冬計画そのものが全面断念される事態に陥ったのです。
当初は第2次隊の先発隊がすぐに基地へ入り、犬たちの世話を引き継ぐ予定だったため、犬たちは基地のワイヤーに係留された状態でした。しかし、天候は急速に悪化し、「宗谷」自体が氷に閉じ込められて沈没の危機に瀕したため、犬たちを収容しに戻る余裕は完全に失われてしまいました。隊員たちの無念の決断は、日本国内で動物愛護の観点から激しい批判を浴びる大きな社会問題へと発展しました。