ギャグマンガ日和で名塚佳織が見せた伝説の怪演とギャップの真相
『ギャグマンガ日和』のアニメーション制作において特筆すべきは、極少数の精鋭キャストによる過密アフレコ体制です。作品の中核を担うのは、聖徳太子役やクマ吉役を神がかり的なテンションで演じ切るうえだゆうじ、小野妹子役などで冷静沈着なツッコミから崩壊までを操る前田剛、そして矢部雅史、そして紅一点としてすべての女性役・異形役を背負った名塚佳織でした。
スタジオ内はまさに戦場でした。大地丙太郎監督が課すアニメーションは、通常のアニメのようなリップシンク(口の開閉への完全一致)を重視せず、声優が放つテンポの異常な速さに作画側が引っ張られる形で構成されていました。台本に書かれた台詞の文字数は通常のショートアニメの倍以上に達し、声優陣は息継ぎのタイムすら削ぎ落とされたマシンガントークを強いられます。
そうした男子校の部室のような極限状態のアフレコブースで、名塚佳織は見事に男性陣の狂気を上回る膂力を見せつけました。うえだゆうじの圧倒的なアドリブの暴風雨を前田剛が鋭敏に捌き、そこに名塚佳織が一点の曇りもない超高精度のドスを効かせてトドメを刺す。この完璧なトライアングルがあったからこそ、単なるナンセンスギャグに終わらない、研ぎ澄まされた演劇的グルーヴが生まれたのです。名塚佳織出演回に対するネットの反応を見ても、「名塚さんがブースで一番楽しそうに叫んでいる」「声優界最高の職人集団による壮大な悪ふざけ」と称賛を惜しまない声が溢れています。