イカ天ドリフト熱狂の真相!名勝負と歴代王者の現在、D1生んだ伝説を徹底追跡
1980年代後半の日本は、空前のハイソカー・スポーツカーブームに沸く一方で、全国各地の峠道や埠頭では夜な夜な違法な暴走行為が社会問題化していました。そうした混沌とした状況のなか、株式会社三栄のグループ会社であるサンプロスと、初代編集長「Dai」こと稲田大二郎、そして「ドリキン」こと土屋圭市の手によって1989年に企画されたのが「いかす走り屋チーム天国」です。
企画の根底にあったのは、「危険なストリートの腕自慢たちを安全なサーキットに集め、誰が一番カッコいいかを白黒つけさせよう」という明快な発想でした。VHSビデオマガジン『VIDEO OPTION』のキラーコンテンツとして映像化されたイカ天は、過激な走りと生々しい人間模様をありのままに収録。深夜の峠でしか見られなかったアンダーグラウンドな技術が、クリアな映像と迫力あるエキゾーストノートとともに全国のクルマ好きへ届けられたのです。
当時のイカ天の審査基準とルール・採点方法は、現代の精密なGPS計測とは異なり、極めて感覚的かつ本質的なものでした。「進入スピード」「ドリフトのアングル(角度)」「振り返しの鋭さ」「白煙の量」、そして何よりも観る者を圧倒する「イケてるか・ダサいか」という美学が点数化されました。失敗すれば辛辣に切り捨てられ、魂を揺さぶる走りには惜しみない賛辞が送られる。このストリートカルチャー直系のリアリティが、視聴者の心を激しく掴みました。