イギリスの正式名称が衝撃の長さ!なぜそう呼ぶ?4つの構成国と歴史の真相
日本人の多くが無意識に混同しているのが、イングランドとイギリスの違いです。旅行先やビジネスの場でこの2つを同一視することは、時に決定的なコミュニケーション上の破綻を招きます。
スコットランド人(Scots)やウェールズ人(Welsh)、北アイルランドの人々に対し、親愛の情を込めたつもりで「You English people(あなたたちイングランド人)」と声をかける行為は、相手の民族的ルーツを真っ向から否定する重大な侮辱と受け取られかねません。彼らは「British(英国民)」であることには合意していても、「English」と呼ばれることには明確な拒絶反応を示します。
この構造を最も端的に示しているのが、近代スポーツの国際大会です。サッカーのFIFAワールドカップやラグビーの国際大会において、なぜ「イギリス代表」ではなく、イングランド代表、スコットランド代表、ウェールズ代表、北アイルランド代表がそれぞれ単独で出場しているのでしょうか。
理由は極めて明快です。これらの競技規則や国際統括団体が作られた19世紀後半、サッカー協会(FA)を世界で最初に組織したのがこの4地域だったためです。「近代スポーツ発祥の地」としての特権的な歴史的経緯から、国際サッカー連盟(FIFA)は創設時からこの4協会を別々の「独立したサッカー協会」として公認してきました。一方、近代オリンピックでは国家単位での出場が義務付けられているため、「Team GB(英国代表)」として4地域が1つの旗の下に結集します。この二重基準こそが、連合王国の複雑怪奇なアイデンティティを象徴しています。
また、英国旗「ユニオンジャック」の意匠にも歴史の陰影が色濃く残されています。現在の国旗は、イングランド(聖ジョージの白地に赤十字)、スコットランド(聖アンドリューの青地に白斜め十字)、アイルランド(聖パトリックの白地に赤斜め十字)の3つの旗を重ね合わせて作られました。ウェールズの象徴である「赤い竜」が入っていないのは、国旗が制定された1606年の時点で、ウェールズがすでにイングランドの一部として法的に統合されていたからです。この事実ひとつを取っても、4カ国の力関係がいかに非対称であるかが分かります。