紅白でかいドレスの歴代真相!小林幸子からMisiaまで巨大化の全貌
そもそも、なぜ紅白歌合戦の衣装はここまで巨大化する必要があったのでしょうか。その背景には、テレビメディアの特性と日本芸能史が育んだ構造的な理由が存在します。
第一の理由は、NHKホールという空間の制約とテレビカメラの広角化です。NHKホールは客席数3,000人を超える大劇場であり、通常の衣装では引きのカメラアングルで捉えた際にどうしてもステージ上の歌手が小さく埋没してしまいます。高精細な大型カラーテレビが各家庭に行き渡るにつれ、画面いっぱいに広がる非日常のスペクタクルが求められるようになりました。舞台美術を「着る」という逆転の発想が、空間を支配する唯一無二の解決策だったのです。
第二の理由は、日本古来の「見世物(スペクタクル)文化」と歌舞伎のケレン味です。江戸時代から続く歌舞伎の宙乗りや大道具の早変わり、からくり人形の伝統は、大衆を驚かせ、日常の憂さを忘れさせるための芸能の真骨頂でした。紅白の巨大衣装は、まさにこの系譜に連なる現代のケレン味です。一年の締めくくりに「あり得ないものを見てスカッとしたい」という大衆の心理的欲求が、巨大化を後押しし続けました。