谷啓の芸名はダニー・ケイ由来?名付け親フランキー堺と昭和喜劇の真相

谷啓の芸名はダニー・ケイ由来?名付け親フランキー堺と昭和喜劇の真相の詳細について、専門知識を詳しくお届けします。

フランキー堺とシティ・スリッカーズを経て、1955(昭和30)年に結成されたのがハナ肇とクレイジーキャッツ(結成当初はキューバン・キャッツ)でした。植木等さんの超人的な前向きさと突き抜けた明るさ、ハナ肇さんの怒号とリーダーシップが前面に出る中で、谷啓さんは常に一歩引いたポジションから絶妙な違和感を投げ込む「とぼけ役」として独自のポジションを確立していきます。

昭和の国民的番組『シャボン玉ホリデー』(日本テレビ系)などで爆発的なブームを巻き起こした谷啓さんの代名詞といえば、右手を前に突き出してから一気に引き寄せる一発ギャグ「ガチョーン」です。このガチョーンの誕生秘話にも、谷啓さんがジャズマンであった事実が色濃く刻み込まれています。

テレビ創成期の生放送や公開収録の現場は、綿密な台本通りには進まない混沌の場でした。カメラが自分に向かってズームインしてきた際、間を持たせることができずに困惑した谷啓さんが、麻雀で牌を引き寄せる動作と、自身が演奏するトロンボーンのスライド管を手前に素早く引き戻す際のイメージを合体させ、息を呑みながら「ガチョーン!」と叫んだのがすべての始まりでした。

この「引きのリアクション」は、自己主張を美徳とする西洋のコメディアンとは異なる、日本の間合いの芸術でした。ダニー・ケイの持つダイナミックなリズムの概念を忠実に受け継ぎながらも、日本人特有のシャイネスと照れ隠しの感情を「ガチョーン」「ビローン」「ムヒョー」といったナンセンスな擬音へと変換させたのです。名付け親フランキー堺氏から授かった「ダニー・ケイ」の遺伝子は、こうして日本独自のポップアートへと見事に開花しました。

関連記事