店舗の「出禁張り紙」は違法?顔写真掲示のリスクと正しい文面例をプロが解説
店舗のオーナーや店長が「誰を店に入れるか、誰の立ち入りを拒否するか」を決める権利は、民法上の「契約自由の原則」および施設所有者・管理者が持つ「施設管理権(施設占有権)」によって明確に保障されています。店側が迷惑客に対して「以後の来店を断る」という意思表示を行うこと自体には、何ら法的な瑕疵(かし)はありません。
法的な紛糾が生じるのは、その手段として「店頭への張り紙」を選択した場合です。不特定多数の目に触れる場所に、特定の人物を名指ししたり、特定の個人が容易に特定できる客観的特徴を列挙した警告文を掲示したりすると、日本の法体系では刑法230条の「名誉毀損罪」または刑法231条の「侮辱罪」が成立する余地が生じます。
日本の名誉毀損罪は、「公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させた」場合に成立します。ここで極めて重要なのは、「摘示した内容が真実であっても罪になる」という点です。たとえ相手が過去に店舗で激しい暴言を吐いた事実や、万引き未遂を起こした事実が100%真実であったとしても、それを店外の一般客に向けて公表・掲示して相手の社会的評価を貶めれば、刑事・民事の双方で店舗側が責任を追及されることになります。