国保と社保の違いは?保険料・扶養・手当の格差と損得を徹底解剖
制度の数値を理論上で語るだけでは見えてこないのが、実際に制度の切り替えを経験した当事者たちの生々しい葛藤です。現場のリサーチや取材からは、会社員時代には意識すらしていなかった「社会保険の手厚さ」と「国保の冷徹さ」に打ちのめされる声が多数確認されています。
大手IT企業からフリーランスのWebエンジニアとして独立した30代男性(独立2年目)の手記には、次のような生々しい告白が綴られています。
「会社を辞めて最初の初夏、役所から届いた国民健康保険料の納入通知書を開いた瞬間、手の震えが止まりませんでした。前年の会社員時代の高収入をもとに算出されたため、毎月の納付額は上限枠に近い約8万円。さらに国民年金保険料が毎月約1万7,000円。会社員時代は給与天引きで痛みを直視していませんでしたが、会社が半分払ってくれていたありがたみを骨の髄まで思い知らされました」
ネット上のコミュニティや知恵袋、SNS上でも、会社員とフリーランスの保険料比較にまつわるトラブルや悲鳴が後を絶ちません。特に警戒すべきなのが、独立・退職直後の「疾病リスク」です。都内のデザイン事務所を退職後にフリーランスへ転身し、半年後に急性膵炎で2カ月間の緊急入院を余儀なくされた40代女性の証言は深刻です。
「会社員なら有給消化に加えて傷病手当金が給料の3分の2出るはずでした。しかし国保にそんな仕組みはありません。病床で天井を見つめながら、クライアントへの謝罪と、猛烈な勢いで減り続ける銀行口座の残高への恐怖でパニックになりました。病気になった瞬間に『収入ゼロ+全額自己負担の医療費+高額な国保料』の三重苦が襲いかかってくるのが国保の世界です」
こうした事態を防ぐ防衛策として知っておくべきなのが、退職後の任意継続と国民健康保険の比較です。会社都合・自己都合を問わず、退職後20日以内に手続きを行えば、最長2年間にわたり前職の健康保険組合や協会けんぽに個人として残り続ける「任意継続被保険者制度」が利用できます。
任意継続では会社負担分がなくなるため保険料は全額自己負担(従前の2倍)になりますが、健康保険法によって「全被保険者の平均標準報酬月額」を基準とした上限枠が定められています。前職の給与が高かった人や扶養家族が多い世帯の場合、退職直後の1年目は国保へ移行するよりも任意継続を選択したほうが、年間数十万円単位で保険料を低く抑えられるケースが珍しくありません。