フェンタニルとは?致死量2Mgの脅威と米国の現状・日本規制の真相
米国でフェンタニル禍が深刻化した背景には、製薬業界の過度なマーケティングと違法麻薬組織の供給構造が複雑に絡み合った「オピオイド危機(Opioid Epidemic)」の3つの波が存在します。
第1の波は1990年代後半に始まりました。製薬会社(パデュー・ファーマ等)が「依存性が低い」と宣伝したオキシコドン製剤(オキシコンチン)を医師が過剰に処方したことで、一般的な腰痛や術後痛の患者が知らぬ間に重度の薬物依存に陥りました。その後、処方規制が強化されると、行き場を失った依存患者は第2の波として安価なストリートのヘロインへ移行します。
そして2010年代半ばから現在に至る第3の波こそが、密造フェンタニルの台頭です。メキシコの麻薬カルテル(シナロア・カルテルやCJNG等)は、アジア諸国から輸入した原料化学物質(前駆物質)を用いて秘密研究所でフェンタニルを大量生産。鎮痛薬「オキシコドン」や抗不安薬「ザナックス」に外見を似せた偽造錠剤(通称・M30ピル)として市場に氾濫させました。
米麻薬取締局(DEA)の公式ラボ検査データによると、押収された偽造錠剤の10錠中7錠に致死量(2mg以上)のフェンタニルが含まれていたことが判明しています。服用者は正規の処方薬を飲んでいるつもりで、知らぬ間に致死的なフェンタニルを摂取し、命を落とす悲劇が全米で日常化してしまいました。