ベートーヴェンのトルコ行進曲解剖!モーツァルトとの違いと演奏の真実
音楽史を丹念に紐解くと、興味深い事実が浮かび上がってきます。ベートーヴェンがこの印象的な旋律を生み出したのは、劇音楽『アテネの廃墟』を手がける2年前、1809年のことでした。彼はこのテーマを用いて、すでに『トルコ行進曲の主題による変奏曲 作品76』というピアノ独奏曲を完成させていたのです。
自ら生み出した変ロ長調の力強いテーマに強い愛着を持っていたベートーヴェンは、劇場音楽という大舞台の依頼を受けた際、かつての自作からこの主題を再起用し、華々しい管弦楽曲へと昇華させました。6つの変奏から成る作品76の変奏曲を聴くと、無骨なまでに純粋な推進力を持つテーマが、変幻自在に表情を変えていく様子が鮮明に分かります。メロディの骨格がすでに1809年時点で完璧に完成されていた事実は、作曲家の強い自信と創作意図を物語っています。