【2026年最新】乳癌の種類で治療や予後はどう違う?4つのタイプを徹底解説
乳癌の確定診断がついた際、最初に確認される構造上の違いが非浸潤性乳管癌と浸潤癌の違いです。乳房の内部には、母乳を作る「小葉」と、それを乳頭まで運ぶパイプである「乳管」が張り巡らされています。がん細胞がこの乳管や小葉の壁(基底膜)の内側にとどまっている状態を「非浸潤癌(主に非浸潤性乳管癌:DCIS)」、基底膜を破って外側の間質組織へ染み出した状態を「浸潤癌」と呼びます。
この境界線は、医学的に天と地ほどの差を持ちます。乳管の内側には血管やリンパ管が存在しないため、非浸潤性乳管癌の段階であれば、理論上がん細胞が血液やリンパ液に乗って全身へ遠隔転移することはあり得ません。適切な外科手術によって病巣を完全に取りきることができれば、ほぼ100%に近い確率で完治が期待できます。
一方、間質へ飛び出した浸潤癌は、周囲の微小な毛細血管やリンパ管に入り込む能力を獲得します。そのため、腫瘍の大きさがわずか数ミリであっても全身転移の潜在的リスクが生じ、局所治療(手術・放射線)だけでなく、全身を巡る薬物療法(抗がん剤やホルモン剤)の検討が不可欠となるのです。
さらに見逃せないのが、全乳がんの約5〜10%を占める浸潤性小葉癌の症状と診断の難しさです。一般的な乳管癌がコリッとした硬いしこりを形成するのに対し、小葉癌は細胞同士を接着させるタンパク質(E-カドヘリン)が欠落しているため、しこりを作らず乳腺組織の隙間を「数珠つなぎ」のように這うように浸潤します。自覚症状が乏しく、マンモグラフィでも「乳腺が全体的に硬い」「左右差がある」程度にしか映らないケースが少なくありません。超音波や造影MRI検査、病理組織診を綿密に組み合わせることで、初めて正確な病巣の広がりが判明する特殊なタイプです。