ゴールデンカムイ土方歳三の謎を解く|史実との違いと壮絶な最期の真実
土方歳三がアイヌの埋蔵金を求めた動機は、私財を蓄えることでもなければ、明治政府への単なる復讐でもありませんでした。彼が見据えていたのは、南下政策を強めるロシア帝国の侵略から日本を守り、同時に幕府崩壊によって居場所を失ったサムライたちの尊厳を取り戻すための、独立した軍事緩衝国家「蝦夷共和国」の建国です。
かつて榎本武揚らとともに箱館で掲げた「蝦夷共和国」の理念は、日本初の総裁公選制を導入した先駆的な試みでした。土方はその志を40年間一秒たりとも忘れていませんでした。さらに本作における土方は、アシㇼパたち先住民族であるアイヌの人々を決して搾取の対象とは見なさず、対等な連邦国家の構成員として迎え入れる度量を示します。これこそが、冷酷な軍事独裁国家を目指した鶴見中尉との決定的な理念の相違でした。
その革命の道標となったのが、自らの魂とも呼ぶべき日本刀、和泉守兼定(十一代会津兼定)です。脱獄後、土方はかつて自身の手を離れ、紆余曲折を経て民間の刀剣コレクターの手に渡っていた兼定を強奪に近い形で奪還します。銃火器が戦場の主役となった明治後期において、なお研ぎ澄まされた刃を愛機ウィンチェスター銃とともに使いこなす土方。「いくつになっても男子は刀を振り回すのが好きなのさ」という名言は、単なる老人の強がりではなく、近代化の波に飲み込まれて去勢された日本男児への痛烈な皮肉であり、誇りの宣言でもありました。