2021年紅白出演者と曲順全記録!藤井風サプライズと歴史的転換点
なぜ2021年の紅白は、放送終了から数年が経過した今も語り種となっているのか。その最大の理由は、従来の予定調和を完全に破壊した2つの規格外パフォーマンスにあります。
第一の衝撃は、白組で初出場を果たしたシンガーソングライター・藤井風のステージでした。公式タイムテーブルでは「事前収録映像による出演」を思わせるアナウンスがなされ、実際に岡山の実家とおぼしき和室で、リラックスした格好でキーボードを弾き「きらり」を歌い始める映像が流れました。視聴者が「コロナ禍に配慮したリモート歌唱か」と受け止めた瞬間、カメラが引き、彼が履いていたモフモフのスリッパのまま東京国際フォーラムのステージ中央の扉を開けて生中継空間へ歩み出てきたのです。
この藤井風紅白サプライズ演出の真相について、後日の番組制作陣の取材や音楽雑誌の手記で明かされたのは、「完全な極秘オペレーション」の徹底でした。リハーサル時の動線管理から現場スタッフへの情報制限に至るまで厳重な箝口令が敷かれ、生放送で「燃えよ」のピアノ弾き語りへとシームレスに接続。さらに大トリを務めたMISIAの「Higher Love」では、作詞・作曲を手掛けた藤井自らがピアノ伴奏とコーラスで飛び入り参加するという二重の仕掛けが用意されていました。一人の新人アーティストが紅白のフィナーレ全体をジャックするかのようなダイナミズムは、お茶の水の音楽関係者をも唸らせる完成度でした。
そして第二の爆発点が、紅白2021特別企画ゲストとして登場した松平健による「マツケンサンバII」です。この松平健マツケンサンバ出演経緯には、当時の世相が深く絡み合っていました。2021年夏に開催された東京五輪開会式を巡り、閉塞感漂う世相を打破するために「マツケンサンバを開会式で流してほしかった」という声がTwitter(現X)上で猛烈なうねりを見せ、ネット署名運動にまで発展。NHK制作統括はこのネット上の圧倒的な熱狂を逃さず、年末の特別企画として正式オファーに踏み切りました。スケボーに乗って金色の衣装で颯爽と現れた松平健の姿は、祝祭感を失いかけていた日本社会を文字通り一夜にして笑顔で包み込みました。