1500M世界記録の衝撃!陸上・競泳・スケートの限界と進化の全貌
1998年7月14日、イタリア・ローマのスタディオ・オリンピコで開催されたゴールデンガラ。モロッコのヒシャム・エルゲルージが打ち立てた3分26秒00は、陸上中距離史における最高到達点として語り継がれています。このレースにおけるエルゲルージの驚異的なペース配分とラップタイムの内訳は以下の通りです。
・400m通過:54秒17
・800m通過:1分50秒73(この400m:56秒56)
・1200m通過:2分46秒34(この400m:55秒61)
・ラスト300m:39秒66(100m平均:13秒22)
トラック400mを平均約54秒93で走り抜け、100m換算では約13秒73というハイスパートを15回連続で繰り返す計算になります。一般的な成人男性の全力ダッシュに匹敵するスピードを、有酸素性エネルギーが枯渇するラストまで落とさずに維持する生理学的タフネスは、当時のスポーツ科学界に大きな衝撃を与えました。
エルゲルージは当時の特番インタビューや手記において、次のような言葉を残しています。「1200mを過ぎた瞬間、肺が破裂しそうな激痛と足の感覚が消える錯覚に襲われる。それでも私はペースメーカーの背中ではなく、頭の中にある時計の針だけを信じて腕を振り続けた」。過酷な高地トレーニングによって鍛え上げられた最大酸素摂取量(VO2max)と、乳酸が急激に蓄積しても筋収縮力を損なわない異常なまでの無酸素性耐性が、この不滅の金字塔を支えていたのです。